NetCANS管理者ガイド
NetCANSとはCANSをネット上で実行できるWebアプリケーションです。
WebクライアントのWebブラウザからWebサーバーに計算をさせ、
結果をWebで表示させることができます。
Webアプリケーションを実装するためのソフトウェアとして、
(株)KGT社のMASTを利用しています。
NetCANSは汎用性が高く、他のコマンドベースのUNIXアプリを組み込むことも
比較的容易です。
基本事項
この節では、MAST+NetCANSの管理をするにあたって、必要な設定事項を
順に述べます。
1. 動作環境
OS：Red Hat 7.2, 7.3
必要ソフトウェア：KGT社MAST(AVS, vncを含む), Fortranのコンパイラ,
JAVAの統合環境, CANS(netCDFを含む)
※2002年、現在、KGT社MASTは300万ぐらいする有料ソフトウェアです。
2. 管理者情報
NetCANSを利用するにあたり、MASTを走らせるサーバーとMASTの管理用のユーザを
用意します。MASTのインストール時には、root権限が必要ですが、管理はrootで
ある必要はありません。
機能の追加などの作業を安定して行なうために、MAST用管理アカウントを作成すると
便利でしょう。
・設定例
MAST+NetCANSサーバー：netlab
管理者アカウントの例：mastroot
3. 基本パス
MASTやNetCANSはどこにインストールされるか説明します。
- MASTに関連したファイルは、MASTパス以下におかれます。
- NetCANSに関連するファイルは、NetCANS作業パス以下においてください。
MASTパス ：$MAST_HOME=/opt/KGT/mast-1.0
NetCANS作業パス ：$HOME=/opt/netcans
※MASTパスはMASTのバージョンによります。
4. 基本ディレクトリ
NetCANS作業パスには、4つのディレクトリがあります。
bin ：NetCANS 管理用コマンド
cans-source ：CANSソース＋NetCANS用課題集
netcans_shell ：NetCANS 実行コマンドシェルスクリプト
netcans_vscript：NetCANS 可視化スクリプト
netlab_sample ：NetCANS ソース
5. 環境設定ファイル：$HOME/netlab_sample/env_sh
NetCANSを更新・修正などメンテするためには、管理者アカウントで
ログインしたときに、環境設定ファイルを読み込む必要があります。
以下は設定の例です。
#!/bin/csh
setenv JAVA_HOME /usr/java/jdk1.3.1_04
setenv MAST_HOME /opt/KGT/mast-1.0
setenv TOMCAT_HOME /opt/KGT/mast-1.0/tomcat
setenv ANT_HOME /opt/KGT/mast-1.0
setenv HOME /opt/netcans
setenv PATH $PATH:$HOME/bin
|
※jdkやMASTのバージョンにあわせてパスを変更
6. 実行・停止コマンド等
MAST+NetCANSを実行・停止・メンテする際には、複数のコマンドを実行する
必要があります。$HOME/binには実行・停止・メンテを単一のコマンドで
おこなえるものがそろえられています。
| MASTの起動 | ：mast_start |
| MASTの停止 | ：mast_stop |
| MASTの再起動・メンテ | ：mast_restart |
| シェルコマンドの追加 | ：mast_addshell |
| 可視化スクリプト追加 | ：mast_addvscript |
※参考：起動・停止コマンド等の中身について
- 起動：mast_start
$MAST_HOME/bin/i3 start
$MAST_HOME/bin/netlab_engine start
$MAST_HOME/bin/vncserver -depth 24 :1
|
- 終了：mast_stop
$MAST_HOME/bin/vncserver -kill :1
$MAST_HOME/bin/netlab_engine stop
$MAST_HOME/bin/i3 stop
|
- 再起動：mast_restart
NetCANS設定パッケージを変更後に実行します。
#!/bin/csh
$MAST_HOME/bin/vncserver -kill :1
$MAST_HOME/bin/netlab_engine stop
$MAST_HOME/bin/i3 stop
cd $HOME/netlab_sample/build
./build clean install
$MAST_HOME/bin/i3 start
$MAST_HOME/bin/netlab_engine start
$MAST_HOME/bin/vncserver -depth 24 :1
|
- シェルコマンドの追加：mast_addshell
#!/bin/csh
cp $HOME/netcans_shell/md* $MAST_HOME/bin/.
|
- 可視化スクリプトの追加：mast_addvscript
#!/bin/csh
cp $HOME/netcans_vscript/*.vm $HOME/netlab_sample/src/vtemplates/
|
7. 基本URL
デフォルトの設定におけるNetCANSのURLとMAST管理用のURLは以下の通りです。
netlab.XXX.XXX.XXXは、MASTをインストールしたホスト名が相当します。
NetCANS
http://netlab.XXX.XXX.XXX:8080/netlab_sample/vtl/login
MAST管理用
http://netlab.XXX.XXX.XXX:8080/mast/modules/login
※MASTのデフォルトの設定では8080ポートを使用します。
※firewall等の設定によっては、8080ポートにアクセスできない場合があります。
NetCANSの設定：パッケージの追加手順
パッケージの追加はMAST管理者で行います。
(0)環境ファイルの読み込み
source $HOME/netlab_sample/env_sh
※.cshrcで自動設定しておくと便利です。
(1)パッケージの変更
以下のNetCANSのファイルを設定する。
$HOME/cans-source/cans2d/mdXXX
例1、パラメータ入力なし
$HOME/cans-source/cans2d/md_kh
例2、パラメータ入力あり
$HOME/cans-source/cans2d/mdn_kh
※mdnで始まる課題が、NetCANSに拡張した課題です。
(2)シェルスクリプトの作成
パッケージを実行するためのシェルスクリプトを作成します。
$HOME/netcans_shell/md_XXX
例1、パラメータ入力なし
#!/bin/csh
cd $1
setenv NETCANS /opt/netcans/cans-source
cp $NETCANS/lib* .
cp $NETCANS/cans2d/md_XXX/* .
echo '*** start ***'
make FFLAGS=-O2 CANS_LIB_DIR=.
exit 0
|
※$1のディレクトリにファイルを出力します。
※NETCANSのパスは、インストールした環境に合わせて設定してください。
例２、パラメータ入力あり
#!/bin/csh
cd $1
touch 'para.txt'
echo $2 >> para.txt
echo $3 >> para.txt
echo $4 >> para.txt
echo $5 >> para.txt
setenv NETCANS /opt/netcans/cans-source
cp $NETCANS/lib* .
cp $NETCANS/cans2d/mdn_XXX/*.f .
cp $NETCANS/cans2d/mdn_XXX/Makefile .
echo '*** start ***'
make FFLAGS=-O2 CANS_LIB_DIR=.
exit 0
|
※$2-$5がパラメータとして、WEBから入力されます。
※それを利用して、Fortranプログラムで入力するpara.txtを作成します。
(3)設定の変更
$HOME/netlab_sample/src/etc/command_list.xml
$HOME/netlab_sample/src/etc/vtemplates/vis101.vm
※command_list.xmlとvis101.vmに上記で作成したコマンドを記述します。
(4)変更の反映
mast_addshell
mast_restart
NetCANSの設定：可視化スクリプトの追加手順
可視化スクリプトの追加もMAST管理者で行います。
(0)環境ファイルの読み込み
source $HOME/netlab_sample/env_sh
(1)AVSのvファイルの用意
UViewer2DかUViewer3Dを使って描画を行い、vファイルを保存します。
(2)AVSのvファイルの編集
a. ファイルパスの変更
filename = "${filename}/out.cdf"
※outputファイルは$1=${filename}のディレクトリに出力されます。
b. Uviewerのportの追加
link link => .Uviewer2D.Scene_Selector.curr_view;
※MASTが画像を取ることで必要な設定。
c. vファイルの拡張子変更
vファイルの拡張子を"XXX.v"から"XXX.vm"とし、ファイルをコピーします。
cp XXX.vm $HOME/netcans_vscript/.
(3)設定の変更
$HOME/netlab_sample/src/etc/VizScriptConfig.xml
$HOME/netlab_sample/src/etc/vtemplates/vis101.vm
※VizScriptConfig.xmlとvis101.vmに上記で作成したコマンドを記述します。
(4)変更の反映
mast_addvscript
mast_restart
一般的な実行プログラムパッケージの追加手順
例として、Net kempoの設定をあげます。
Net kempoとは、kempoと呼ばれる粒子シミュレーションプログラムを
NetCANSのインターフェイスで動かすものです。
パッケージの追加はMAST管理者で行います。
(0)環境ファイルの読み込み
source $HOME/netlab_sample/env_sh
※.cshrcで現在は設定してあります
(1)パッケージの変更
以下のkempoのファイルを設定する。
NetKempoパス：$KEMPO=$HOME/kempo
(2)シェルスクリプトの作成
パッケージを実行するためのシェルスクリプトを作成します。
$HOME/netcans_shell/kempo12sh
例
#!/bin/sh
#
# $1 : Default AVS data file path
#
cd $1
cp $HOME/kempo/kempo12 .
cp $HOME/kempo/data-file.inp .
echo '*** start ***'
./kempo12 < ./data-file.inp
echo '*** end ***'
exit 0
|
※$1のディレクトリにファイルを出力します。
(3)設定の変更
$HOME/netlab_sample/src/etc/command_list.xml
$HOME/netlab_sample/src/etc/vtemplates/vis101.vm
※command_list.xmlとvis101.vmに上記で作成したコマンドを記述します。
(4)変更の反映
mast_addshell
mast_restart
NetCANSのインストール
(1)ソースファイル展開
cd /opt
tar xvf netcans.tgz
※ここで、$HOMEを/opt/netcansとします。
※移動したdirectoryでnetcansといったdirectoryを作成します。
※そこの中でファイルが展開されます。
(2)環境ファイル読み込み
source $HOME/netlab_sample/env_sh
(3)コンパイル
a. NetCANSのコンパイル
cd $HOME/netlab_sample/build
./build clean install
b. 必要に応じてCANSのコンパイル
cd $HOME/cans-source
make FFLAGS=-O2
b. 必要に応じてNetCDFのインストール
http://www.unidata.ucar.edu/packages/netcdf/
binaryをダウンロードして、libnetcdf.aをcans-source以下にコピーしてください。
(4)ファイルのコピー
始めにインストールする場合は以下をコピーしてください。
cp $HOME/dest/netlab_sample-1.0.jar /opt/KGT/mast-1.0/lib
cp $HOME/dest/netlab_sample.war /opt/KGT/mast-1.0/tomcat/webapps
(5)ファイルの設定
vncserverのプログラムを以下の場所にコピーしてください。
Red Hat Linuxでは、/usr/local/binにあります。
$MAST_HOME/bin/vncserver
(6)起動
mast_start
始めに、vncserverのパスワードの入力が求められます。
適時、パスワードを設定してください。
(7)動作確認
上記、URLにて、動作を確認してください。
最終更新：