流体運動のシミュレーション


ジェット機のまわりの空気の運動のシミュレーション、数値天気予報など 流体運動のシミュレーションでは空間を格子に分けて各格子点における 密度、速度、温度などの時間発展を計算する手法が用いられる。

  1. 流体的な見方

    流体モデルでは流体を構成している個々の分子の運動を追跡する のではなく、空間に固定された各点における密度や速度(各分子 の運動を平均化したマクロな速度)などの物理量がどのように 時間発展するかを調べる。

  2. 差分近似

    空間を格子状に分割したとき、各セルには重力などのほかに隣接するセル との間の圧力差による力が働く。また、セル境界を通した物質、 運動量、エネルギーの流入、流出を考慮する必要がある。このように 流体の時間的な変化を求めるときには空間的な変化も計算する必要が あることから、数学的には流体運動は常微分方程式ではなく、偏微分 方程式で記述される。流体シミュレーションでは各方向の微分を隣接 するセルの値との差をとることによって近似する(これを差分近似という)。

  3. 流体シミュレーションの困難の克服

    流体運動を記述する方程式をコンピュータで解くにはいろいろ難しい 点があり、以前は数値不安定性によって計算が止まってしまうことが よくあった。しかし、最近、計算方法にさまざまな改良が施され、 それぞれの問題に応じてどのような方法を選択すればよいかが よくわかってきている。