このJAVAアプレットは、シュバルツシルト・ブラックホール周辺の球対称重力場中におけるテスト粒子の軌道を計算して表示するものである。すなわち相対論的ケプラー運動を視覚化する。
テスト粒子の運動方程式は、粒子の固有時間τと極座標(R,φ)を用いて、次式のように表すことができる。
dR/dτ=V
dV/dτ=−1/(2*R^2)+(1−1.5/R)*L*L/(R^3)
dφ/dτ=L/(R^2)
dL/dτ=0
ただし、Vは極座標での動径速度、Lは運動の間保存される運動の定数で(第4式参照)、粒子の回転速度Vsおよび角速度Ωとは、
L=R*Vs=(R^2)*Ω
という関係がある。なお上式などで、長さはシュバルツシルト半径rg=2GM/(c^2)、速度は光速c,でそれぞれ無次元化してある。したがって時間の単位はrg/cである。
一般相対論的効果として次の2つに注目してほしい。すなわち
1.近ブラックホール点の移動
粒子軌道はニュートン力学のような閉じた楕円にならない
2.最小安定円軌道の存在
この半径より内側では、いかなる粒子もブラックホールの周辺を
円運動することができない
使用者はまず以下のパラメーターを入力する。
Re,Se : 視点の位置 球座標(r,θ,φ)
α : 視野の半頂角 [度]
R0,F0 : テスト粒子の初期位置 極座標(R,φ)
Vr0,Vs0: テスト粒子の初速度 極座標(R,φ)
dt : 時間ステップの初期値 (0で可変時間きざみ)
END : 計算終了時刻 [ *π*R0^1.5]
さらに、座標格子を書くかどうか、相対論的効果を無視(=ニュートン力学)するかどうか、をチョイスする。
以上を入力したのち、Calculateボタンを押せば実行されるようになっている。また、5つの例を用意しているので、それらも参考にしてもらいたい。
example
1. 軌道が閉じないことに注目。
2. 1と同じパラメーターで視点の位置や座標格子などを適当に選択すれば、
空間の歪みと合わせてこのように表示できる。
3. 100rgから0.03cで円周方向に打ち出した場合。先の1と比べると
近ブラ点移動が著しい。
4. 3と同じパラメーターで、相対論的効果を入れないニュートン力学の場合、
軌道は閉じる。
5. 最終安定円軌道(3rg)からの落下。