太陽系の惑星、銀河系の星の運動、高温電離気体(プラズマ)の挙動 などを調べる際に、運動の法則にしたがって動く、個々の粒子の 軌動を追跡する粒子シミューションが行われる。
自然界には4種類の力(重力、電磁力、弱い相互作用、強い相互作用)が あることが知られている。太陽系の惑星や銀河系の星の間では万有引力 の法則にしたがう重力相互作用が、荷電粒子(電子、イオン)からなる プラズマ中では荷電粒子間のクーロン相互作用が、原子核の中では 強い相互作用が重要な役割を果たす。
力を受けた粒子は加速度運動をする。このため、力が働くと粒子の 位置と速度が変化する。これらの関係は運動方程式とよばれる 方程式によって記述される。この方程式を数値的に解くことに よって、現在の位置と速度、および力から微少時間後の位置と 速度を計算することができる。
星の運動の場合、相互に働く力は距離の2乗に反比例する大きさの 万有引力だけなので基本法則は単純である。ところが、星が3個 だけの場合でさえ、コンピュータシミュレーションによらない 方法で一般解を求めることはできない。3個以上の粒子が相互作用 するときの運動を調べることは、多体問題として知られている 難しい問題であり、コンピュータシミュレーションが有効な研究 方法となる。