衝撃波管問題

著者

松本洋介(千葉大学)

背景

MHDシミュレーションコードをテストする標準問題として、衝撃波管問題が知られている。これは、シミュレーションの系( 0 \le X \le L_x )の左側( X < L_x/2 )と右側( X \ge L_x/2 )を異なる状態で初期に設定し、その後の系の発展を見るものである。これはちょうど、近似リーマン解を求める際のセル境界における左・右状態を設定するのと同じである( 近似リーマン解法参照 )。結果として現れる、接触不連続、接線不連続、回転不連続、速・遅衝撃波、膨張波などが正しい速度で伝搬するか、を検証することができる。また、不連続近傍における数値振動、解像度(何セルで表現できるか)を計算スキームによって比較するためにもしばしば採用される。本課題では、 Brio & Wu (1988) の衝撃波管問題を例に取って、計算結果例を紹介する。

課題設定

以下にシミュレーションの初期設定をまとめる。設定は''model.f90''で行っている。なお、オリジナルの設定と違い、比熱比 \gamma=5/3 である( Ryu & Jones, 1995 参照)。

物理量

左状態( X < L_x/2

右状態( X \ge L_x/2

\rho

1.0

0.125

P

1.0

0.1

V_x

0.0

0.0

V_y

0.0

0.0

V_z

0.0

0.0

B_x

0.75

0.75

B_y

1.0

-1.0

B_z

0.0

0.0

結果

_images/shktb.png

T=0.1 における結果。左上→右上→左下→右下の順に、圧力、質量密度、速度x成分、速度y成分を表す。

T=0.1 における結果を に示す。右上の質量密度から、左から順に、速い膨張波、slow compound波( X\sim 0.47 )、接触不連続( X \sim 0.55 )、遅衝撃波( X \sim 0.63 )、速い膨張波が形成される。これら不連続周辺で若干の数値振動が残るものの、 CANS+ の特徴である高次精度化により、数点で解像できていることがわかる。

まとめ

本課題では Brio & Wu (1988) を例にとったが、様々な設定例が Ryu & Jones (1995) に掲載されているので、参考にしてテストを行ってみるとよい。