


MHD衝撃波管問題は流体の衝撃波管問題の磁気流体力学への応用で、
磁気流体数値シミュレーションの基本的なテスト問題として利用されます。
流体の衝撃波管問題と同様に、一定の断面積をもった管の中に
異なる熱力学的状態や磁場を持つ流体を左右に分けて入れておき、
その後の状態を求める問題です。

初期条件を表示するにはマウスを図の上においてください。
5種類の特徴的な波が伝わっています。
左から順に、
滑らかな曲線になっているところはfast膨張波(FR)、
とがっているところはslow compound Wave(SM)
圧力が一定で密度に不連続があるところは接触不連続面(C)、
物理量全てに不連続があるところは衝撃波(SS)、
滑らかな曲線になっているところはfast膨張波(FR)、
とそれぞれ呼ばれます。
計算結果について詳しくは詳細解説をごらんください。

磁気流体方程式



MHD衝撃波管問題はBrio & Wu (1988)やRyu & Jones (1995)によって提案されています。
ここではBrio & Wu (1988)の初期条件を試し、その後の進化について見てみましょう。
初期状態としては、密度と圧力の不連続に加えて
曲がった磁場が流体を貫いているのが特徴です。
時間進化の性質は以下の通りです。
- 初期不連続面の高温、高密度のガス側にfast膨張波(fast rarefaction wave)が
広がっていきます。
- 接触不連続面の後方にslow compound waveがあらわれます。
compound waveとはMHD衝撃波管問題で現れる特有の波で、
衝撃波(shock)に膨張波(rarefaction wave)が付随した構造を持ちます。
- 密度の接触不連続面(contact discontinuity)があらわれます。
- 接触不連続面の前方にslow衝撃波(slow shock)が伝播します。
- 初期不連続面の低温、低密度のガス側にもfast膨張波
(fast rarefaction wave)が広がっていきます。
より詳しくは、こちらのドキュメント(PDFファイル)を参照してください。

Brio, M. & Wu, C. C. 1988, J. Comp. Phys., 75, 400
Ryu, D. & Jones, T. W. 1995 ApJ, 442, 228